まどろみの中で

あなたが嫌っていた人は地に還りました。

人々が活動を始める半国ほど前の出来事です。

 最後の言葉はありませんでした。

 片付けも終わり、還りそびれた欠片が一つあるばかりです —

 

彼は弱い人間でした。人の幸せを願いつつ何より自分を優先する、愚かで浅ましい人間でした。そんな彼から人は離れていきます。「あなたのことが嫌いです」「ネットの人とはもう関わらない」幼い彼が言葉の意味に気づくのは数年後。

重くのしかかった言葉たちが空っぽだった心を満たしていきます。友人や同僚、その他の人と会うときは何事も無いような振る舞いをし、家に着くと虚空を見つめます。手を差し伸べることはできませんでした。唯一残った彼の時間を奪うことは、存在の否定につながると思ったからです。

そんな考えを嘲笑うかのように、彼は地に還りました。最期の言葉はなく、せめて表情をと思いましたが、すでに還ってしまったようで見ることは叶いませんでした。

今、彼だったモノの一部がここにあります。忘れないように、まどろみの中であなたに会えるようにー

 

以上、当ブログ「まどろみの中で」を立ち上げるに至ったお話でした。

信じるか信じないかは(ゲフンゲフン...

彼は弱い人間でした。頼る人もいませんでした。それでも何とかなると思い込む人でした。あなたはどんな人間ですか?

感想、悩み、愚痴、恋慕、コメントしていただければ、一つ一つ返していきます。

このブログが皆さんとの交換日記となれば嬉しい限りです。

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